[メイン] : x5 3d6 #1 (3D6) > 13[5,2,6] > 13 #2 (3D6) > 8[1,2,5] > 8 #3 (3D6) > 12[1,6,5] > 12 #4 (3D6) > 7[3,3,1] > 7 #5 (3D6) > 11[3,6,2] > 11

[メイン] GM : じゃあ、準備を聞こうか

[メイン] 村上春樹 : 僕は準備ができていることを伝えた。

[メイン] GM : 出航だァ~~~~~!

[メイン] 村上春樹 : やれやれ僕は出航した。

[メイン] GM :

[メイン] GM : □冒頭:あてんしょん

[メイン] GM : 探索者が目を覚ますと、そこは
白い空間であった。白い壁、白い机、
白い椅子、白い本棚、白い額縁

[メイン] GM : ──いいや、そこにひとつだけ、
白い机の上に一丁の黒いレボルバーが
存在していた。

[メイン] 村上春樹 : やれやれ、僕は目を覚ました。

[メイン] GM : 『おはよう、探索者。』

[メイン] GM : 探索者の耳に届くのは機械とは
程遠いが、聞き取りにくい僅かに
人とは思い難い声が聞こえてくる。

[メイン] 村上春樹 : 「失礼?」と僕はびっくりして訊きかえした。「あなたは?」

[メイン] 村上春樹 : そもそも急に知らない場所にいて、どこの誰とも──人間かどうかも怪しい──何かに声をかけられても、どうすべきかもよくわからず、状況を整理するのに少しばかり時間がかかった。

[メイン] 村上春樹 : とはいえ、何もしないままではどうしようもないので、一先ず会話を続けるように努めた。

[メイン] GM : 残念ながら、問いに対する返答らしいものは返されなかった。
声は一定の調子で続けられた。

[メイン] GM : 声は語る。
『君にはAを探してもらいたい』

[メイン] GM : 声は訴える。
『Aは何処かに隠されている』

[メイン] GM : 声は求める。
『そして君にはAの答えを解いて欲しい』

[メイン] 村上春樹 : 何をお願いされてるんだ、俺はいったい、と思った。どうしてどこかのわけのわからない声の願いを聞き入れなければならないんだ?

[メイン] 村上春樹 : 「どうして僕なんだ?」と僕は言った。答えが返ってくるのか、それほど期待はしていなかった。

[メイン] 村上春樹 : 「どうして他の誰かじゃなく僕を連れてきたんだよ?」

[メイン] GM : 声はもう聞こえてこない。

[メイン] 村上春樹 : やれやれ、と僕は思った。本当にやれやれだ。

[メイン] GM : また、探索者自身には連れてこられるに足る身の覚えも無い。
少なからず偶然ではあるのだろう。

[メイン] GM : さて、声はもう無く、しかし代わりに視線だけは感じる気はする。

[メイン] 村上春樹 : 僕は視線を感じながら、この状況について──いったいいつどこで僕がこんなことになったかについて──少し考えてみた。でも僕にはわからなかった。とくに何か思いあたることがあったわけではないのだ。

[メイン] 村上春樹 : 少し考えこんだが、やはり思い出すことも出来なかった。それよりも視線が気になったので、どこから見られているのか、僕は調べてみることにした。

[メイン] GM : 当然ながら、普通はそんなことは分からない。
相応の調べ方が必要になる。

[メイン] 村上春樹 : やれやれ、僕はさっぱりわからなかった。

[メイン] 村上春樹 : どこからか特定は出来なさそうなので、部屋全体を見渡して覗き見ることが可能な場所がないか探してみることにした。

[メイン] GM : ──さて、ぐるりと見渡せば、
この部屋はとても単純な白い部屋。
机の前には椅子。椅子の背後には本棚。
左の壁は白く、右の壁には額縁がある。

そこはまさに真っ白な、部屋。

[メイン] GM : 窓や覗き穴の類はどこにも無い。
探索者以外には誰もいないし、外から誰か覗けそうでもない。

[メイン] 村上春樹 : 白と言えば僕はここに来る前に、コンビニで塩むすびを買っていたような気がした。僕は、おにぎりなら塩むすびが好きだ。身も心も、純白で何者にも染まっていない高貴な白。そういえば、エーデルワイスという花は、ドイツ語で「高貴な白」という意味があると聴いた。塩むすびもエーデルワイスと似ても似つかない。

[メイン] 村上春樹 : そういえば塩むすびは食べてから来たのだろうか。やれやれ、こんな時なのに呑気にそんなことを考えてしまった。でもこんなときだから少しでも雰囲気を和らげたいのかもしれないな……。

[メイン] 村上春樹 : 視線がとにかく気になるが、どうしようもないのなら仕方がない。目につくものを調べてみることにする。まずは本棚だ。

[メイン] GM :




[メイン] GM :


一冊だけ、背表紙が薄灰色の本があった。
背表紙にはゴシック体の文字で
『花と色彩に関する関連性について』
と書かれている。

[メイン] GM : …そういえばこの部屋は白いが、
所々色が見え隠れしていると感じる。
何かを暗示しているのであろうか?

[メイン] 村上春樹 : 花については正直まったく知識がない。女性へのプレゼントにいいとはよく聞くが、僕は彼女に花をあげたことはなかった。彼女は何も言わなかったし、僕もそれでいいと思っていたので、今の今まで知識はないままだ。

[メイン] 村上春樹 : 部屋に隠された色についても気になる。しかしまずは背表紙が薄灰色の本を読んでみることにした。何故だかわからないが、これが異様に気になってしまったのだ。

[メイン] GM : 探索者が抜き取れば、その表紙には
次のように記載されているだろう。

『証言、Aは語りました』

[メイン] GM : 本を開くと、最初の1ページ目に
『提示、Aはその時執筆をしていた』
と言葉が書かれている。
最初の1ページ目の右下には『0』、
次のページ(本を見開いて左側、左下)には
『1』と数字が振られており、
ページ数を意味しているとわかる。

ページをパラパラと捲ると、『5』は青、『29』は白、『30』は赤黒、
『32』は赤で紙一面塗られている。


『29』には赤文字で文章が書かれている。

『貴方は情熱的だった』
『薔薇で結婚してくださいって表して、
108本の薔薇はロマンチックで素敵ね』
『私だって、私はあなたにふさわしいわ』


『30』には白字の文章が存在する。
文字は抱え込まれたように、少し掠れている。

『貴方はあくまで私のもの』
『決して滅びることのない愛だ』


『32』には、記載途中の文章が存在する。
万年筆を落としたのだろうか。

『それは≪奇跡≫と言えた。
愛する子、授かった奇跡、ああ、よかった。
私たちの夢が叶ったのだ。
これは神の祝福と言って過言で、』

[メイン] 村上春樹 : まったくやれやれだ。わけもわからず連れてこられて、謎解き紛いのことをやらされているのだから、やれやれとしか言いようがない。

[メイン] GM :                ダ
                ァ


               ン

                ッ

               !!

[メイン] GM : ──からん、からから…

     から、…ん……

[メイン] 村上春樹 : 僕はやれやれと言いながら本を読み思案しているところを、大きな音が遮った。

[メイン] 村上春樹 : 僕は本を落としそうになったが、落とすことはなかった。そして音がした方向を即座に振り返った。いったい何が?

[メイン] GM : 文を目にした直後、
探索者に向けた発砲音を聴く。

[メイン] GM : 方向は机の方から。

[メイン] 村上春樹 : 確かに部屋に銃はあった。しかし部屋を見渡したときは誰もいなかったはずだ。そもそも僕は撃たれたのか?

[メイン] GM : 撃たれていない。探索者には一切の傷が無い。

[メイン] GM : その代わりに真っ白な本棚には
新しく血飛沫が激しく飛び散っていた。
【SAN値チェック:0/1d3】

[メイン] 村上春樹 : CCB<=35 (1D100<=35) > 98 > 致命的失敗

[メイン] 村上春樹 : 1d3 (1D3) > 1

[メイン] 村上春樹 : 僕は目眩がした。趣味の悪い人探し──といってもAが人なのか、そもそも生き物なのがわからないが──に付き合わされる道理はないはずだ。

[メイン] 村上春樹 : Aを探すにしてもこんな狭い部屋に連れてこられる意味もわからない。

[メイン] 村上春樹 : 出来ることならすぐに出して欲しいが、それが叶わないならせめて平穏に部屋を調べさせて欲しいと僕は強く進言した。

[メイン] 村上春樹 : したところで、どうするか少し悩んだ。本をくまなく調べたいところだが、自分が撃たれないにしろ発砲されるのは気分のいいものじゃない。

[メイン] 村上春樹 : 思い返すと、僕はこのような謎解きの類が大の苦手なのだ。クトゥルフ、マーダーミステリー、ウミガメのスープ……友人に誘われて混じってみたものの、ただ一人言語の通じない外国に放り出されたかのような錯覚に陥った。

[メイン] 村上春樹 : やれやれ、と僕は思った。本当にやれやれだ。もうやることはないだろうと思っていたのに。

[メイン] 村上春樹 : これで時間制限のようなものがあるとしたら、僕にはもうお手上げだろう。仮に僕が謎解きに慣れていたとしてもゆっくりと考えたい。焦って答えを出すことがそもそもあまり好きではない。

[メイン] 村上春樹 : 僕が撃たれてないなら血飛沫のようなものはいったい何処からきたのだろう? 新たな疑問も浮かびあがってきたが、もしここの銃が使われたのなら元あった場所からずれているかもしれない。

[メイン] 村上春樹 : 背表紙を調べるのは後にして、まずは銃を調べることにした。

[メイン] GM : 真っ黒のペンキで塗られたような銃。
なんでこんなものが此処に、と思うと同時に
探索者は此処にあるべきではないと感じたか。

[メイン] GM : 銃の側面に文字が刻まれている。


『事実、私は目の前の存在を殺したい』

[メイン] GM : 銃の側には空の銃弾がひとつだけ落ちている。
おそらく既に一回、撃ち放たれたのだろう。/

[メイン] 村上春樹 : やれやれ、殺人沙汰に巻き込まれてしまったのだろうか。僕はただのしがない就寝名誉ノーベル文学賞候補なのだから、恨まれる覚えはいっさいない。

[メイン] 村上春樹 : 一応、残りの弾が入ってるからどうか確認した。

[メイン] GM : 確認すれば、1発だけ弾丸が残っていることが分かる。

[メイン] 村上春樹 : 持っていくかどうか悩んだ。この状況で法律がどうとか気にしている場合ではないが、それ以外にもこれを持っていると撃った犯人と間違われるのでは? という懸念もある。

[メイン] 村上春樹 : しかし『あるべきではない』のだろう。僕は謎解きが苦手だし、そもそもこんなところにいきなり連れてこられて冷静に推理しろというのも無理な話だと、誰に言うでもなく言い訳をした。

[メイン] 村上春樹 : 銃を持っていくことにした。

[メイン] 村上春樹 : 『あるべきではない』のなら『あるべき場所』もあるのだろう。

[メイン] GM : 銃は持っていくことができる。問題はない。

[メイン] 村上春樹 : 僕は謎解きが好きな友人達についてふと思いを馳せた。彼らならどうしていたのだろうか? まあ、そのときの記憶はこことは関係なく朧げになっているのだが、彼らは情報をとにかく一つ一つ集めて整理をしていたような気がする。

[メイン] 村上春樹 : 気がするだけで自信はなかったが、僕は思った以上に体も心も疲労していて、誰でもいいから助けて欲しい気持ちを抑えることができない。気のせいなら仕方ないという思いで記憶に従うことにした。

[メイン] 村上春樹 : 気になっていた背表紙も見ておこう。

[メイン] GM : 『提示、物事には意味がある』

本の裏表紙には淡々と書き留められているだろう。

[メイン] GM : アイデアか母国語を振っていい

[メイン] 村上春樹 : CCB<=55 (1D100<=55) > 58 > 失敗

[メイン] GM : 終身名誉ノーベル文学賞候補だからファンブらない限り成功扱いでいいよ

[メイン] 村上春樹 : 文学賞候補も捨てたものじゃないなと僕は思った。

[メイン] GM : 探索者は『ここでの物事は全て言葉遊びであると共に一つの事件ではないか』と思う。/

[メイン] 村上春樹 : 謎解きが苦手ということは当然言葉遊びも苦手だ。

[メイン] 村上春樹 : ウミガメのスープではよく言葉遊びがあったが、僕がいつも最後に取り残されていたな……という苦い思い出がミミズのように記憶の底から這い出てきた。

[メイン] 村上春樹 : しかし今の状況は間違いなくその記憶より苦いものになるだろうと確信した。今までは取り残されたら終りだったが、今回は取り残されてからが始まりだからだ。

[メイン] 村上春樹 : そんなことをぼんやりと考えているとどうすべきかがわからなくなってきたので、軽い体操をしてから定型を確認ことにした。僕は頭が混乱してくるとよくシャンカー定型を確認する。これは昔からずっとそうなのだ。

[メイン] 村上春樹 : 僕かシャンカー定型を確認する工程はぜんぶで40億4890万にわかれている。それは(1)モンジョンにはじまって(40億4890万)夢シャンで終る。その順番は狂うことはまったくない。ひとつひとつ番号を数えながら、順番に定型を確認していく。そうしないことにはうまく確認ができないのだ。

[メイン] 村上春樹 : 少し落ち着いたが、解決策はまったく思いつかないと僕は呟いた。言葉遊びをするにしても言葉が足りないのかもしれないな、と思ったのでまずはあるものを調べることにした。

[メイン] 村上春樹 : 絵画を見てみることにした。僕は芸術に詳しくもなければ、興味も特にないので、その価値がわかるとは思えないけれど。

[メイン] GM :



[メイン] GM :

よく目を凝らして確認するが、
特に際立って目立つモノは何もない。
白くて華奢な額縁の中に収められた絵は
原色の青のみで塗られている…。

[メイン] GM : もし探索者なら此処には何を収めたであろう。
心の隅で考えてみたかもしれない。

[メイン] GM : 額の下には『かつて青は中にいた』と
刻まれているプレートが一枚。
探索者だったらどんなタイトルをつけるだろうか。/

[メイン] 村上春樹 : 『かつて』というのは過去形のはずだけれど、そのタイトルとは違ってその中には青しか見当たらないように見えた。芸術とはかくも難解というか、難解であればあるほどいいと考えられているんじゃないかと僕は邪推してしまいそうになった。

[メイン] 村上春樹 : 言葉遊びとやらに付き合うためには頭を働かせないといけないのだが、この状況でそれをするのは今までで一番の難題と言えるだろう。もしかしたらノーベル文学賞を取るより難しいかも? しかし取ったことはないのだから比較しようがない。

[メイン] 村上春樹 : 血飛沫について調べてみることにした。そもそもどこを撃たれたのか、なぜ血飛沫があるのかを確認しなければならないだろう。

[メイン] GM : 本棚の血しぶきは真新しいように見えるが、発生源は判然としない。

[メイン] GM : かかりかたからして、血は正面からのものであるようには見える。

[メイン] 村上春樹 : やれやれ、これだとあまりにも情報が少ないと僕は思った。本棚をもう少し調べて血飛沫をついて何かないかを探ってみることにした。

[メイン] GM : 本棚に関して…まあ普通に調べても本当に謎に血飛沫がかかっただけにしか見えないね

[メイン] GM : まあ探せば好きな本くらい見つかるかもよ

[メイン] 村上春樹 : 僕は小説家という職業柄、よく本を読む。と言っても、良質な文章だけをなるべく目を通すようにしているので他の小説家と比べるといささか偏食家なところはあるだろう。

[メイン] 村上春樹 : 僕はスティービー・ワンダーの曲でも聴きながらずらりと並んだ本達に4秒間だけ目を当てる。

[メイン] 村上春樹 : 今まで花には興味はなかったし、これからも気にすることはないと思っていた。女性はどう感じるかわからないが、少なくとも僕は贈り物に花を贈られたところで置き場所のことを真っ先に考えてしまうからだ。

[メイン] 村上春樹 : とはいえ、この状況なら調べる必要があるかもしれないな。謎解きで花が出てきたらとりあえず花言葉を調べておけとボブ・ディランの曲にもある。これだからボブ・ディランには頭が上がらない。

[メイン] 村上春樹 : 僕は薔薇の花言葉を調べられそうな本を探した。

[メイン] GM : いいだろう

[メイン] GM : 探索者は一冊の本を見つける。他の本と同じく外装は白い。

[メイン] GM : しかし内容は色とりどりの花で溢れている。図鑑だね。

[メイン] GM : 薔薇とそれにまつわる花言葉に関しても記載がある。

[メイン] GM : --------------------
■白色 「純潔」「私はあなたにふさわしい」
■赤色 「情熱」「熱烈な恋」
■青色 「夢かなう」「奇跡」「神の祝福」
■黒色 「貴方はあくまで私のもの」「決して滅びることのない愛、永遠の愛」
■黒赤色 「死ぬまで憎みます」「憎悪」「恨み」
■トゲ 「不幸中の幸い」
--------------------

[メイン] 村上春樹 : 僕は花言葉は一つの花につき一つだけだと思っていたので、これだけ複数の花言葉があることに少し驚いた。

[メイン] 村上春樹 : 目を通してみると、大体が恋や愛に関することだと理解する。黒赤色はかなり物騒だが、そこはいいだろう。

[メイン] 村上春樹 : トゲにも花言葉があることは意外に感じた。それにトゲに幸いなイメージなんてない。たとえ不幸中の小さな幸せだったとしてもだ。

[メイン] 村上春樹 : この意外な知識もここにこなければ得ることはなかっただろうな。僕はスモークサーモンを食べながらため息を吐いた。意外というだけで、妙な事件に巻き込まれる対価には全く見合ってはいない。

[メイン] 村上春樹 : まだ全てを調べたわけではないので言葉遊びができるのかもわからないけれど、試しに情報を一度自分なりに整理してみようとした。

[メイン] 村上春樹 : この本には今調べた薔薇の花言葉と同じ色のページがあることに気づいた。それを当てはめてみる。

[メイン] 村上春樹 : 文字色のことを忘れていたので少し時間がかかったし、思ったよりまとまらなかった。

[メイン] 村上春樹 : そういえば何故108本の薔薇を贈ったのかも疑問に思った。どうせなら40億4890万本の薔薇を贈った方がシャンカーは喜ぶのに、と僕は思った。

[メイン] 村上春樹 : シャンカーじゃないにしても本数が多いし、何より半端だ。

[メイン] 村上春樹 : やれやれ。その辺りも本棚から調べてみるとするか。

[メイン] GM : こちらも見つかる。

[メイン] GM : やはりこれも花に纏わる本で、しかし先ほどのものと違って人間的な文化に関しての視点から花を解説する本だね

[メイン] GM : 108本の薔薇を送るのはプロポーズの暗喩であることが分かるよ

[メイン] 村上春樹 : やれやれ、結婚を申し込むにしてもこれだけの本数を貰うのは嫌がらせの域に達するのではないだろうか? 僕はそう感じてしまったが、世の女性はそうでないのかもしれない。事実この本に書かれていることが本当なら贈られた女性はとても感激している。

[メイン] 村上春樹 : 「事件……か」言葉が漏れた。そういえば、これは一つの事件ではないかという一説を思い出した。結婚、ひいては男女の仲に関する事件は枚挙に暇がない。小説の題材にもよく選ばれるほどだ。

[メイン] 村上春樹 : 恋というもの自体が人の関心を惹きつけてやまないのだから、現実でも創作でもよく使われるのは当然といったところだろう。僕の小説でも男女の仲に関するテーマはよく使われる。

[メイン] 村上春樹 : そういえば銃の色も黒色なのを思い出した。まあ、銃が黒色なこと自体はまったく珍しくもないのだけれど、真っ黒なペンキで塗られたような色なのが少し気になった。これも黒薔薇の花言葉と関係があるのだろうか?

[メイン] 村上春樹 : 色恋沙汰の事件があったのかもしれないな、と僕は予想した。ただ詳しい概要はここで考えても出ることはないだろう。

[メイン] 村上春樹 : 今まであったことを思い出してみる。確か、隠された色があったような……。

[メイン] 村上春樹 : 僕は「この部屋は白いが所々色が見え隠れしている」と感じたことを思い出した。真っ白な部屋にいるせいなのかもしれないけれど、とにかく色について気になっていたのだ。

[メイン] 村上春樹 : 見え隠れしている色が何なのかについて調べてみることにした。感じただけなのでわかるかは不明だが、やるだけのことはやってみることにした。

[メイン] GM : 現状、白の他に見え隠れしているのは「赤、青、黒」の3色だね

[メイン] 村上春樹 : 思ったより隠された色は多かったようだ。やれやれ、要素が中々に多いので、僕は捌ききれるのか不安になってきた。まあ、今までが自信に満ち溢れていたか、と言われると否定するしかない。

[メイン] 村上春樹 : 隠されているのだから、何か重要な意味があるのだろう。もしないのなら紛らわしいので隠さないで欲しいが、それを知るには結局調べなければいけない。

[メイン] 村上春樹 : 隠された色が具体的にどの部分なのかを調べることにした。

[メイン] GM : では机にぼんやりと青い部分があるように思う。目を凝らすと文字ではないかと思う。

[メイン] GM : 他の調べてない部分には、それらしい色は見つからないね

[メイン] 村上春樹 : 他の色についても気になるところだが、まずは文字を読むことにした。

[メイン] GM : 『──公言、Aは僕の尊敬でした』


書いてあるのはおぼつかない青い文字だった。滑る様に机を見渡さなければ、
決して見つけられないようなよれよれの文字であった。

[メイン] 村上春樹 : 青い薔薇の花言葉を思い出した。夢かなう、奇跡、神の祝福……神の祝福と言えば子供のことを指すこともあったような気がする。その手のことには疎いので、はっきりとは断言できないが、もしそうなら子供の書いた字なのかもしれない。おぼつかない字の辻褄も合う。

[メイン] 村上春樹 : 子供の割には言葉遣いが丁寧なので、育ちがよかったのかもしれない。

[メイン] GM :                ダ
                ァ


               ン

                ッ

               !!

[メイン] GM : ──からん、からから…

     から、…ん……

[メイン] GM : 探索者は発砲音を聴く。
持っていたリボルバーは煙を吐いて、
机の上にあったはずな文字は消えて、
机の上に書かれていたものは変わる。

[メイン] GM : 『密告、
            Aは

      奪う
         に

      飽き足らなかったんだ』

[メイン] GM : 赤黒い液で乱暴に書かれた。

[メイン] GM : この文字は怒りを抑えきれないように感じる。

[メイン] 村上春樹 : しまった、弾を抜いておくべきだったかもしれない。そう後悔したが、何もかも遅かった。

[メイン] 村上春樹 : しかし後悔してばかりではここからは出られないだろう。僕は机を隅々まで調べることにした。

[メイン] GM : 『そんなことないもん』
 
机の角に小さな青い文字が書いてあった。ひっそりと。

[メイン] GM : この文字は先ほど(銃声まで)無かったように思う。

[メイン] GM : アイデア振れるよ

[メイン] 村上春樹 : CCB<=55 (1D100<=55) > 50 > 成功

[メイン] GM : 赤黒い液の文字と青文字は手癖が違うように見える。/

[メイン] 村上春樹 : 文字色で誰が書いたかを推理することも必要になるのがしれないなと僕は思った。そもそも、誰が書いてるかという問題になるのだが、この状況だと本に書かれた事件の関係者──もしかしたら当事者──なのかもしれない。

[メイン] 村上春樹 : 考えをまとめようとしたが、どうせならまだ手をつけてない椅子を調べてからの方がキリがいいと考えた。情報が出てからでも遅くない、というより出てからでないと完全な推理はできないだろう。少くとも僕にはできない。

[メイン] 村上春樹 : 椅子を調べてみることにした。

[メイン] GM :



[メイン] GM :


白い椅子の背もたれから、
椅子の脚にかけて薔薇(イバラ)が
蔓を伸ばしている。背もたれには
ゴシック体の文字が刻まれている。

『追伸、Aにとって不幸中の幸いでした』

[メイン] 村上春樹 : トゲの花言葉と一致するな、と僕は思った。しかしこれだけだと結局わからないな……とも思った。他にも何か情報がないか椅子を詳しく調べてみることにした。例えば椅子の裏側だったり、イバラだったり、文字だったりだ。

[メイン] GM :                ぱ
                

               き
                ん

[メイン] GM : その時、パラパラと、薔薇のトゲが蔓から落ちる。
無動作に、意図せず、自然に。

[メイン] 村上春樹 : 不幸中の幸いと言われるトゲが落ちていくことに、僕は不安を抱かずにはいられなかった。幸いが落ちていくのなら、残ったのは不幸だけになってしまう。

[メイン] GM : そして――

[メイン] GM : 『…、──ッ…!!!』

[メイン] GM : 遅れて、声にならない、声になっていない
何かが耳を突き刺す様に
椅子後部から勢いよく響き渡った。
それは強く胸を(呼吸を)締め付けた(何故か)
そしてまた(また?)胸を痛める(どうして)

[メイン] GM : 探索者は自分でありながら
自分ではないような感情の起伏に
戸惑いと苦しさと理解のできなさを感じ
嫌な汗をかくことだろう。
【SAN値チェック:1d6/2d6】

[メイン] 村上春樹 : CCB<=34 (1D100<=34) > 63 > 失敗

[メイン] 村上春樹 : 2d6 (2D6) > 8[2,6] > 8

[メイン] system : [ 村上春樹 ] SAN : 34 → 26

[メイン] 村上春樹 : 普通の人間であれば発狂してもおかしくない状況だろう。むしろ発狂した方が楽になれるんじゃないか、という考えすら頭に浮かびあがるほどだった。しかし就寝名誉ノーベル文学賞候補だったのでそこは耐えた。

[メイン] 村上春樹 : 落ちたトゲを調べてみることにした。

[メイン] GM : 床に落ちたトゲを目線で追いかければ、
床の上に茎に銀色の小さな輪っかをつけた
透明な花弁をつけたしおれた薔薇が
一輪だけ床の上に転がっていた。/

[メイン] 村上春樹 : 僕はこの世ならざるものであろう、透明な花弁をつけた薔薇を見た。白ではなく、透明。それに銀色の輪っかがついている。これは指輪だろうか? とにかく、重要そうなものだというのはIQ28の僕にもすぐにわかったので、詳しく調べてみることにした。

[メイン] GM : 薔薇に銀色の輪っかが付いている。
輪っかの大きさは指が通るくらいか。

[メイン] GM : 銀色の輪っかには次のように刻まれている。

[メイン] GM :

[メイン] GM : 『命名、Aは____』

[メイン] GM :

[メイン] GM : /

[メイン] 村上春樹 : 意味深なようで、重要なことはまたもわからなかった。まあ、ここにはっきりと書いてあるならそもそも呼ばれるまではいかないのだから、当然だろうか。

[メイン] 村上春樹 : 透明な花弁も、色がキーワードになっているであろうこの状況では鍵となると彼女は指摘した。なるほど、と僕は理解半分で頷いた。彼女は僕より聡明で、謎解きにも慣れている。

[メイン] 村上春樹 : この部屋の探索もそれなりに進んできた。しかしその度に襲う奇怪な現象は確実に僕の精神を蝕んでいった。とにかくここを出ることが優先なのだが、いったいどうすればいいのか、うまく判断できなかった。なんだかひどく年をとってしまったような気がした。

[メイン] 村上春樹 : 僕はもう一度立ち上がり、壁の方へ目をやってみた。確か隠された色はまだ残っていたはず。

[メイン] GM :



[メイン] GM :


『申告、Aとは誓い合いました』


書いてあるのは華奢な白文字だった。
上から下に流れるように白い壁を見て、
よく目を凝らしてみることで
ようやく探索者がみつけた文字だった。

[メイン] 村上春樹 : 誓い合った、というのはおそらく結婚のことだろうと僕は予想した。あの本の情報からすると、多分そうだろう。

[メイン] GM :                ダ
                ァ


               ン

                ッ

               !!

[メイン] GM : ──からん、からから…

     から、…ん……

[メイン] GM : 探索者は発砲音を聴く。
そして、華奢な文字を撃ち抜くと、
壁は、綺麗な白い肌を滑り落ちるように
赤黒い液体をゴポリと、音と同時に壁に
楕円に開いた穴から零し出した。

[メイン] GM : まるで、そう、それは
白く美しい肌を撃ち抜いた様に。
赤は止め処なく溢れていく。
まるで息をしてるかの様に、ゆったりと。
【SAN値チェック:1d3/1d6】

[メイン] 村上春樹 : CCB<=26 (1D100<=26) > 82 > 失敗

[メイン] 村上春樹 : 1d6 (1D6) > 5

[メイン] system : [ 村上春樹 ] SAN : 26 → 21

[メイン] 村上春樹 : 「……どうして僕なんだ?」返ってくることのない問いを、つい漏らしてしまう。

[メイン] 村上春樹 : いったいどうして僕がこんな目にあわなくちゃならないんだ、と止め処なく溢れる液体に目を向けながら思った。

[メイン] 村上春樹 : それにもしAが見つかったとして、それからどうすればいいんだ? 誰かわからない、機械的な声をした何かに探すように言われたと説得すればいいのか? 僕は探せと言われただけだからわからないけれど、おそらく心配しているから戻ってくれないかな、と頼めばいいのか?

[メイン] 村上春樹 : やれやれ。

[メイン] 村上春樹 : まったく、本当にやれやれだ。Aのことも、機械的な声も、事件のことも僕には覚えがない。当事者同士で解決するか、警察にでも相談すればいいじゃないか。いったい俺はこの七十二になってこんなところで何をやっているんだ?

[メイン] 村上春樹 : 「ねえ」と彼女がささやく。「壁をよく見て。何かあるかも」

[メイン] 村上春樹 : 僕はこの状況にはかなり参っていたのだが、その状況でも視線は壁にやっていた。今は彼女の言う通りにして、もう少し壁を調べることにした。

[メイン] GM : 流れ出る血はいつの間にか白い文字を塗りつぶし、その上から新しく血文字となっていた。

[メイン] GM : 『申告、Aは最期まで≪情熱≫でした』
 
白い文字の上に塗り潰された血文字。
弱々しく、そして真っ赤に熟れている。/

[メイン] 村上春樹 : そういえば、少し気になることがあった。卓に置いてあった銃の弾丸は、僕の記憶が確かならば二つだ。なのに銃声は三つなので、数が合わない。僕は合ってないのは記憶の方なのか、銃弾の方なのか、トム・ジョビンの楽曲を聴きながら思い出してみた。

[メイン] GM : 弾丸はまだ銃に1発残っているし、空の銃弾もやはり机に1発あるだけだ。

[メイン] GM : そして銃声は3回分聞こえている。

[メイン] GM : (アイデア振ってもいいよ)

[メイン] 村上春樹 : CCB<=55 (1D100<=55) > 68 > 失敗

[メイン] GM : 銃声に関して何か気づきそうになったが分からなかった。

[メイン] 村上春樹 : 僕は何か重大なことを見過ごしたような気がした。しかし、これで諦めるわけにもいかない。今日は、いつもと違って近所の喫茶店の店主からいただいたコーヒーを飲みながら、策を考えることにした。

[メイン] 村上春樹 : 技能:彼女を振って彼女が閃いたことにしていいかGMに聞いてみた。

[メイン] GM : いいよ

[メイン] 村上春樹 : CCB<=99 (1D100<=99) > 47 > 成功

[メイン] GM : 彼女は全ての銃声が全く同じものであったように思った。

[メイン] GM : 1つの銃声を3回聞かされたように思う。

[メイン] 村上春樹 : 「この銃声はまったく同じものじゃない? まるで一つの銃声を三回聞かされたみたい」電話越しに僕の他愛のない心理ゲームに付き合ってくれるガールフレンドが、そう呟いた。

[メイン] 村上春樹 : だとして、それはどういう意図があるのだろう? 机に置いてあった銃の弾が減っていないのだから、この銃から撃たれているわけではなさそうなのは、たぶん、間違いないとみていい。でもこれ以上は僕にはわからなかった。

[メイン] 村上春樹 : 銃声の意味を考えていると、ふと背表紙を思い出す。
『提示、物事には意味がある』
この世の中全ての物事に意味があるか、そうでないか。そんなことは僕にはわかるわけがなかった。この世全ての物事を観測することなど、一生をかけても不可能だし、やろうとも思わない。

[メイン] 村上春樹 : しかし、少くともこの場においては意味のある言葉なのかもしれない。この言葉が背表紙に書かれていることにも意味があって、そして──僕がここにいることも。

[メイン] 村上春樹 : 思い返してみると、僕がここにいる理由は真っ先に気になっていた。正確には、一方的にAを探せと言った声の主の正体だが、その次には気になっていた。

[メイン] 村上春樹 : まさか、僕が事件の関係者だとでもいうのだろうか? Aの正体が僕、なんていうのは出来過ぎだろうか。とはいえ、Aはこの灰色の本を執筆した人であり、文体からするとプロポーズされた女性──もしこれが叙述トリックだとしたら少し意地悪だ──なので、おそらく違うとは思うのだけれど。

[メイン] 村上春樹 : 僕は僕自身について調べてみることにした。本当に記憶がないのか念入りに思い出すことをした。そして、もしかしたら今まで気づいていないだけで手がかりのようなものをいつの間にか持っているのかもしれない。それも探ってみる。

[メイン] GM : 探索者は考えるだろう。
探索者はここに何故連れて来られたのか
考えるが思い当たることはない。
──少なからず、選ばれた理由は偶然、
としか言えないのだろう。

[メイン] GM : また、思い出せることとしては、
少なからず探索者は睡眠のために寝床へ
入っていたことは覚えている。
となると、此処は夢か何かだろうか。

[メイン] GM : 探索者は続けて自身を確認する。
荷物は持っていない。
あるのは確かな身体と、意識と…

[メイン] GM : いいや、探索者が服の上からポケットに
触れると何か硬いものがあった。

[メイン] 村上春樹 : 僕はその硬いものをおそるおそる取り出してみた。

[メイン] GM : 取り出してみると、それは鋭利な刃だ。
刃といっても小さなもので、
何か物を切ると言うよりは、刻むことに
向いていそうだと探索者は感じた。

[メイン] GM : 刃の側面にはこのような文字がある。

『解答、Aを求めるのにペンが必要だろう』

[メイン] GM : これで何かを解けということだろうか。/

[メイン] 村上春樹 : やれやれ。大方調べられそうなところは潰したはずだけれど、残念ながら何をするべきか、まったくわからない。

[メイン] 村上春樹 : 途方に暮れていると、今年も大体あと二ヶ月に差し掛かる今日──もちろんここに来る前のことだ──付き合っているガールフレンドと、動物園に行こうか、水族館に行こうか、などとデートの予定をスケジュール帳に書いていたことを思い出した。

[メイン] 村上春樹 : 情けないことに、ここから出る手段はまったくわからない。やることは何だ? と聞かれたら、Aが誰かを探し出すことなのだろうが、それがまったく検討がつかない。デートには間に合わないだろうし、最悪の場合、僕はここから永遠に出られないのではないか。少しばかり嫌な覚悟をしてしまう。

[メイン] 村上春樹 : 僕は彼女に電話をかけた。
「ああ、僕だ。直前になって申し訳ないけど、謝らなきゃいけないことがあるんだ」
「何かしら」
「明日のデートのことだけど、たぶん間に合わない。それにもしかしたら、しばらく帰れないかも」

[メイン] 村上春樹 : 「何があったの?」とガールフレンドは訊ねた。ガールフレンドの声には微かな緊張の響きが混っていた。しばらく帰れないかも、なんて言われたら不可思議に思うのは無理もない。

[メイン] 村上春樹 : 「用事ができちゃってね。本当は抜け出したいんだけど、どうしても時間がかかりそうってだけだよ。大したことじゃない」と僕はなるべく平静を装って答えた。突然妙な部屋に閉じ込められたなんて言っても、信じてもらえるわけがない。

[メイン] 村上春樹 : 「そう」とガールフレンドは言った。その「そう」というのがどういう意味なのかよくわからなかったが、それっきりガールフレンドはしばらく黙っていた。

[メイン] 村上春樹 : 僕も黙っていると、「残念だけど、仕方ないわね」とだけ言った。そしてまた沈黙が続いた。どちらが電話を切るわけでもなく。

[メイン] 村上春樹 : 「ああ、それと」僕は質問した。「もし君が花を贈られたとしたら、どう思う?」

[メイン] 村上春樹 : 「花?」
「そう。花。僕は花を贈られても特別嬉しいとは感じないけれど、女性は違うのかなって。少し気になって」
「もしかして、お詫びのつもりだったりする?」
「お詫びになるなら、喜んで好きな花を贈らせてもらうよ。ただ昔はともかく、今の時代でも女性は喜ぶのかなって。ただの気まぐれみたいなものだよ」

[メイン] 村上春樹 : 少し間が空いたあとに「他の女性は知らないけれど、私の場合は貰ったらまず置き場所を考えちゃうわ」と答えた。
「君もそうか。僕もだよ」
「だけど」と彼女は続けた。

[メイン] 村上春樹 : 「花自体の価値より、それに込められた気持ちがあるなら、私は嬉しいと思う」と答えた。気持ちか。
「花言葉とか、そういうのでわかるのかな」
「私は花言葉には詳しくないけれどね。でも、贈られたら自然とわかるものよ、きっと」

[メイン] 村上春樹 : 「そうか」と僕は言った。「教えてくれてありがとう。じゃあ僕は用事を済ませてくる」
「ええ、また」
僕は電話を切った。

[メイン] 村上春樹 : とにかくAについて探らないといけない。まずは『Aを求めるにはペンが必要だろう』という文字について考えた。ペンと言えば、真っ先に万年筆が思い浮かぶ。万年筆。灰色の本の32ページ。そこで万年筆を落としたかのような形跡があることをふと思い出す。

[メイン] 村上春樹 : 万年筆が必要ということだろうか? それらしきものは見当たらなかった気がする。だが、万年筆の先は見方によっては小さい刃のように見える。もしかしたらいつの間にか持っていたものが万年筆の先かもしれない。僕はそれをよく観察することにした。

[メイン] GM : 普通のナイフですね

[メイン] GM : (アイデア振っていいよ)

[メイン] 村上春樹 : CCB<=55 (1D100<=55) > 75 > 失敗

[メイン] GM : (^^)

[メイン] 村上春樹 : やれやれ。ここはまた彼女に頼ることにした。

[メイン] GM : いいよ

[メイン] 村上春樹 : CCB<=99 (1D100<=99) > 20 > 成功

[メイン] GM : ペンとは万年筆に限らず…要するに記すことができればいいんじゃないかと思います。

[メイン] GM : 記すだけなら刃先で刻むのでも十分だろう。

[メイン] GM : 要するに、刃物で答えを刻むこと、それがペンを使うことなんじゃないかと思いました。

[メイン] 村上春樹 : 彼女のおかげでやるべきことは『答えを刻むこと』だということがわかった。答えというのは、Aについてだろう。でも、僕には見当もつかない。

[メイン] 村上春樹 : 声の言うことが嘘でないなら『Aはどこかに隠されている』はずだ。どこに隠れているか刻むのが、僕のやるべきことなのだろうか?

[メイン] 村上春樹 : 本の1ページに『提示、Aはその時執筆をしていた』と書かれているので、Aとは本を書いた者……つまり文体からしてプロポーズされた女性だと予想していた。もしかしたら、それが思い違いかもしれないが……だとしたら誰なのかは僕には思いつかない。

[メイン] 村上春樹 : この部屋にいるのは僕と彼女。そしてとある事件の関係者はおそらくプロポーズした人、された女性、子供。この誰かがAだと僕は推理した。というより、これ以外ならわかるわけがない。

[メイン] 村上春樹 : 三回聞こえた銃声が同じものだった、という彼女の推理を思い出した。僕は銃に疎いので、そもそも銃声が同じなことに対する異様さはまったくわからない。同じ種類の銃でも撃つたびに銃声が違ってくるものなのだろうか?

[メイン] 村上春樹 : 銃声が同じなのは特に問題あることじゃないとすれば、彼女の閃きはまったく意味のないものとなるので、それは一旦置いとくことにした。『物事には意味がある』少くともこの場に置いては、そうだと信じよう。

[メイン] 村上春樹 : 同じ銃声になることはないと仮定するなら、これは三発撃ったのではなく、一発の弾丸の軌跡を三回にわけて体験しているのかもしれないな、と僕は考えた。銃声が聞こえた順番については、僕だからたまたまその順序に調べただけで、仮に他の人がここにきたとしたら、別の順番で銃声を聞くことになるかもしれない。たぶん、ここは別に考えてもいい、と僕は呟いた。

[メイン] 村上春樹 : だとしたら空の弾丸が一つしかないことにも辻褄が合うというものだ。

[メイン] 村上春樹 : まあ、だから何だと言われたら、僕は回答に困ってしまうだろう。

[メイン] 村上春樹 : 白い壁が撃たれたとき、誰かの肌が撃たれたような感覚がした。この状況が事件の再現をしているとしたら、たぶん誰かが撃たれたということだろう。

[メイン] 村上春樹 : 絵画の額縁が白、その中の絵画が青。白はよくわからなかったが、青が神の祝福=子供だとしたら、この絵画は妊娠した女性の暗喩かもしれない。ということは、撃たれたのは妊娠した女性?

[メイン] 村上春樹 : 椅子にある薔薇(イバラ)のトゲが落ちたときに感じた苦しみは──ここは一度撃たれた人を白の人と仮定する──白の人が撃たれたときの苦しみかもしれない。不幸中の幸いとは、子供は助かったということだろうか。

[メイン] 村上春樹 : 少し話が逸れるが、撃たれた人がいるということは、当然撃つ人もいるということだ。誰が撃ったのだろう? 流石に子供ということは、たぶん、ない。ならプロポーズした人が?

[メイン] 村上春樹 : 殺害動機が常に合理的であるとは限らないし、そもそも他所の事情なんて知らないので、プロポーズしといて後から何かあって撃ったという仮定を完全には否定はできない。ただ、個人的にはそこまでしっくりこなかった。

[メイン] 村上春樹 : 前に考えた三人の他に、部外者というべき者が出てきて、その人が撃った可能性もあるのかもしれない。

[メイン] 村上春樹 : もし部外者がいるとしたら、いよいよ登場人物が複雑になってくる。僕は頭が痛くなった。部外者がいるのかいないのか、はっきりさせることができなかった。それとも考えすぎだろうか?

[メイン] 村上春樹 : 部外者が妊娠した女性を撃って、子供を奪ったという考えが浮かんだが、流石に非現実すぎるなと、非現実な状況下で思った。そんなことをしたら、普通は子供も死ぬのだから、当たり前だ。それとも奇跡というのはそういうところまで含めての奇跡なのだろうか?

[メイン] 村上春樹 : ぐるぐると思考を巡らせていると、本筋がわからなくなってきたので、また落ちつく為にシャンカー定型を40億4890万回の行程にわけて確認した。

[メイン] 村上春樹 : Aが誰なのかが重要なのだということを思い出す。まず、子供ではないだろう。子供が青だとするならば、『Aは僕の尊敬でした』という青文字もまた子供のものと考えるのが妥当だ。この文脈だとA=自分を指すのはいささか無理があるので、除外してもいいと僕は訴えた。

[メイン] 村上春樹 : 残りはプロポーズした人、された人、いるとしたら部外者だ。そういえばプロポーズした人が何をやっているのか、今までの情報では殆ど出ていないことに気づいた。108本の薔薇を贈ったこと以外にはなにもわからない。僕の理解力の問題かもしれないけれど。

[メイン] 村上春樹 : 今までの事柄を素直に考えるなら、Aは部外者で、銃を撃った事件の犯人のことなのだろうと思った。青文字には尊敬されているようだが、まあ、子供はそんなものなのかもしれない。

[メイン] 村上春樹 : ひとまずAが事件の犯人だと仮定したが、だから何? と聞かれたらなにも答えることができなかった。

[メイン] 村上春樹 : 長々と思考したものの、僕の推理力ではさっぱりわからなかった。仕方ないので、最初は調べられなかった視線について考えることにした。普通の人であれば特定はできないだろうが、僕は執心名誉ノーベル文学賞候補色の覇気が使えるので、それで特定できるかもしれない。

[メイン] GM : 振るだけ振ってみなさい

[メイン] 村上春樹 : CCB<=99 (1D100<=99) > 75 > 成功

[メイン] GM : 少なくとも部屋の中や、あるいは外から見られているわけではないということが分かりました。

[メイン] 村上春樹 : 哲学めいた答えが返ってきた。部屋の中にも外にもいないのなら、どこにいるかわからない。

[メイン] 村上春樹 : 僕はあの手この手で推理をしたが、解答を導きだすことができずに途方に暮れていた。まるで重力が均衡を失ってしまったような深い沈黙があたりに充ちた。氷河にとじこめられてしまった五万年の石のような深く冷たい沈黙だった。数十回にも及ぶ思考の繰り返しが僕のまわりの空気の質をすっかり変えてしまったのだ。

[メイン] 村上春樹 : それでも思考をやめるわけにはいかなかった。本音を言えば大分限界なのだけれど、僅かに残った可能性があるならそれを試してからでもいいと思った。

[メイン] 村上春樹 : CCB<=55 (1D100<=55) > 15 > 成功

[メイン] GM : ペンがナイフであるなら、書く先は刻める物になる。

[メイン] GM : そしてこれまで見つけたものの中に先を刻めと言わんばかりの物が一つある。

[メイン] GM : 指輪だね。

[メイン] GM : 指輪に書かれた文字の先に解答を刻めるのではないかと思いました。

[メイン] GM : 解答があればね。

[メイン] 村上春樹 : 指輪に解答を刻めばいいということがわかったが、当然解答は思いついていないと僕は断言した。そもそも名前がわからないので書きようがないし、Aを区別する言葉とは何が適切なのかもさっぱりわからない。

[メイン] 村上春樹 : 色文字は誰が書いたものなのかを考えながら、FMラジオのスイッチを入れて、爪を切った。ラジオはロバート・プラントの新しいLPを特集していたが、二曲ばかり聴いたところで耳が痛くなってきたのでスイッチを切った。

[メイン] 村上春樹 : 青文字が今一度、本当に子供なのかどうかを再確認してみた。でも、花言葉と文体を照らし合わせると、どうしても子供としか考えられなかった。

[メイン] 村上春樹 : 『貴方はあくまで私のもの』
『決して滅びることのない愛だ』
『申告、Aとは誓い合いました』
白文字の言葉に目をあてる。『Aとは誓い合った』ということはもしかしてこれがプロポーズした人なのかもしれない。それにA自身がAに誓い合うのは不自然なので、少くともAが書いたものではない気がする。

[メイン] 村上春樹 : そしてよく見ると、白文字にも関わらず書かれている言葉は黒薔薇の花言葉と一致することに気づいた。

[メイン] 村上春樹 : 僕は頬杖をつき、本をパラパラとめくりながら色について考えていた。そういえばページ数がまばらなのには何か意味があるのかもしれない。僕は今までページ数は事件の出来事につながるものだと思っていた。しかし、このまばらなページ数にも意味があるのかもしれない。ちょうど108本の薔薇のように。

[メイン] 村上春樹 : 108本以外にも、本数で花言葉が変わるのか、本棚で調べてみた。もちろん、調べる本数はページ数と同じものだ。

[メイン] GM : 変わることもあり得る…例えば5本には意味がある…けども

[メイン] GM : 32とかには特別意味はなさそうだね

[メイン] 村上春樹 : 全てに意味があるわけではなかったが、一応5本について調べておく。

[メイン] GM : あなたに出会えた事の心からの喜び

[メイン] GM : って意味だね

[メイン] 村上春樹 : 僕は「青のページ数が他と比べて飛んでいることに、何か重大な意味があるのではないか」と話した。彼女は概ね賛成しかけたが、その意味って何? と、痛いところを突いてきた。まるで駅のホームの階段で、大勢の群衆が見守る中、盛大に躓いてしまったかのような、やりがいのない感触を味わった。
でも、ページ数が飛んでいる理由はまったく思いつかないんだ…。

[メイン] 村上春樹 : CCB<=55 (1D100<=55) > 52 > 成功

[メイン] GM : 子ども、青だけ極端に若いページにある…ページ数は年齢に対応するんじゃないかと思うよ

[メイン] 村上春樹 : ページが年齢に対応するということは、子供は既に産まれているということになる。そもそも、文字を書けている時点で産まれているのは当たり前だったので、妊娠がどうのという話は的外れになった気がした。

[メイン] 村上春樹 : それと、色がついているページ数が四枚あるということは、年齢が違う人も四人いることになる。事件に関わる人達もその人数となるのかもしれない。

[メイン] 村上春樹 : 絵画について考えてみた。芸術についてはまるでわからないが、それは関係ないと信じよう。そうでないなら、僕はここから出ることはないのだから。

[メイン] 村上春樹 : 『かつて青は中にいた』というプレート。額縁が白なのだから、白文字と何か関係がありそうな気がしてならなかった。かつて、ということは白文字の人から青文字が離れてしまったのかもしれない。

[メイン] 村上春樹 : よくよく考えると、やっぱりこの絵画は妊娠の暗喩なんじゃないかという結論に至った。ということは、白は青の母親ということになる。

[メイン] 村上春樹 : 青が子供で、白が母親。そして白い壁が撃たれて血を流したということは、やはり被害者は母親ということになる。

[メイン] 村上春樹 : そうなると『申告、Aとは誓い合いました』という白文字も母親が書いたものだと推理する他なかった。重婚は日本では禁止されていた──というより今更重婚の可能性まで考えたらキリがない──はずなので、Aは夫ということになるのだろうか?

[メイン] 村上春樹 : 『申告、Aは最後まで《情熱》でした』という血文字を鵜呑みにするのなら、赤い薔薇の花言葉からしてAは赤文字だろう。ただ、血文字を白に分類するか、赤に分類するかが曖昧模糊としていて、そこが僕を混乱させた。

[メイン] 村上春樹 : 僕は血文字の筆跡を調べてみた。専門家というわけではないが、時間をいくらか使えばわかるかもしれない。

[メイン] GM : それっぽい技能を振るといい

[メイン] 村上春樹 : 僕の彼女は筆跡鑑定ができることを思い出した。僕は彼女に頼んでみることにした。

[メイン] 村上春樹 : CCB<=99 (1D100<=99) > 5 > 決定的成功/スペシャル

[メイン] GM : 元々壁に書いてあった白文字と血文字は同じ筆跡だとわかる。

[メイン] GM : また、成人女性のような筆跡のように思いました。

[メイン] GM : 更に本の29Pも同じ筆跡じゃなかったかなーと思います。

[メイン] 村上春樹 : 僕は筆跡だけで成人女性かどうかわかることに感服せざるを得なかった。神業とはこのことを言うのだろう。

[メイン] 村上春樹 : ページについても、実は白のページに赤の文字だったのでどちらを優先すべきかわからなかった。それもはっきりとしたのは大きな進歩だ。

[メイン] 村上春樹 : 改めて本を読む。白のページと赤のページに書かれている言葉を合わせるとお互いに子供を授かったことを喜んでいるように見えた。やはり夫婦なのだろう。そしてお互いに恨み合うようには見えなかったので、銃を撃った犯人は黒赤色になるのではないか。

[メイン] 村上春樹 : 色々考えた結果、命名Aはプロポーズした夫という結論が出てきた。しかし、仮にそうだとして懸念がある。考え過ぎかもしれないが。

[メイン] 村上春樹 : 仮に命名Aが夫だと仮定するとして、何故探さなければならないのかということだ。そしてあの声の主は誰なのか。

[メイン] 村上春樹 : 「死ぬまで憎みます」「憎悪」「恨み」
黒赤色の花言葉が浮かびあがる。もし、最初に聞いた声が黒赤色だとしたら? そいつの言う通りに答えを教えたら何からまずいことになる気がしてならない。

[メイン] 村上春樹 : 弾丸は、あと一発ある。

[メイン] 村上春樹 : 『Aは奪うだけに飽き足らなかったんだ』という言葉から、Aに明確な殺意があることは明らかだろう。

[メイン] 村上春樹 : と言っても、夫が実は悪辣な人間だったという可能性もなくはない。それを完全否定する材料もない。しかし僕の勘ではそうは思えなかった。

[メイン] 村上春樹 : そもそもAが夫と確定してはいないが、もしそうだとしても素直に書くのは危険かもしれないな。

[メイン] 村上春樹 : しれないけれど、こんなわけのわからない空間に人知れず閉じこめられる力を持つ相手に対抗する方法なんて、僕には到底思いつかない。だいいち、そんな方法があるなら謎解きに付き合っていないのだ。

[メイン] 村上春樹 : それでも、素直に書いたら後悔することになるかもしれないので、もう少し、慎重に考えることにした。

[メイン] 村上春樹 : 考えたが、出し抜く方法は未だに思いつかない。ただ視線の正体が黒赤色かもしれないという仮説が建てられ、余計に答えを素直に解くことへの危機感が増してしまった。

[メイン] 村上春樹 : よく考えれば、どこの誰とも知らない人の為に、得体の知れない相手を出し抜く必要なんて何もない。僕が無事に帰れてガールフレンドとデートに行くことができるのなら、他人の命なんて気にしない……というのは言い過ぎだが、自分の命をかける必要なんてないはずだ。

[メイン] 村上春樹 : なのに、僕は指輪に答えを刻むことができずにいた。やれやれ。ここまで来て、俺はいったい何をしているんだ?

[メイン] 村上春樹 : 一人で考えこんでも、肝心なところでは何も役に立たない自分の脳が恨めしかった。しかしここにいるのは僕だけではなく彼女もいる。僕は彼女にこのことを打ち明け、相談してみることにした。

[メイン] 村上春樹 : 僕はGMに技能を振ってヒントをもらえないか質問した。

[メイン] GM : 僕は問題ない、と返した。

[メイン] 村上春樹 : CCB<=99 (1D100<=99) > 39 > 成功

[メイン] GM : ヒントと言うのも抽象的すぎるので、もう少し具体的にどこに助けがほしいのか言ってほしいとお願いした。

[メイン] 村上春樹 : 僕はあまり持論を語るのは好きではないが、この際なら仕方がない。セロニアス・モンクの曲でも聴きながらコカ・コーラでも飲み干して、説明したいと思う。

[メイン] 村上春樹 : まず、僕が気になっているのはAを探して欲しいと頼んだ声の目的、残った弾丸、そして視線だ。

[メイン] 村上春樹 : 声は何故Aを探しているのか。まあ、某神格の面白半分という可能性も否定はできない。それならただの考え過ぎで終わる。ただ問題は事件の黒幕である黒赤色だった場合だ。

[メイン] 村上春樹 : 元々は弾丸が二発残っており、あと一発残っている。IQ280の探索者であればもう既に指輪に何を刻めばいいのかは確信しているだろう。しかし、今までに残った弾丸を使う場面がまるでなかった。これが引っかかる。

[メイン] 村上春樹 : このまま指輪に夫のことを書いたら、黒赤色が夫を殺しに向かっていくのかもしれない。そうなってしまうと後味が悪くなってしまうので、それを回避できる手段があるならそのヒントが欲しいと僕は懇願した。

[メイン] GM : (^^)

[メイン] GM : お前が考えてお前ができるだけの手を打て

[メイン] GM : 指輪に名前を刻めば話は進む

[メイン] GM : その先が不安なら今出来ることをしろ

[メイン] GM : 出来ないなら?

[メイン] GM : さあ……

[メイン] 村上春樹 : 視線は部屋の中にも外にもいない。それが黒幕だというのなら、ここから迎撃するのは不可能のように思えた。フィクションならともかく、現実的に考えると監視するために僕と同じ部屋にいる危険を犯す必要がない。

[メイン] 村上春樹 : 弾丸を抜けば安全だろうか? しかし人間を殺す手段なんていくらでもある。知られてしまった時点で危険には変わりない。ここで止めるしか方法はないと感じた。でもどうやって?

[メイン] 村上春樹 : 名前を書いて、誘きだすしか方法はないのだろうか。そもそも答えを書いたら誘きだせるのかは不明だ。ただ現実に返されて終りかもしれない。そもそも用済みとして始末されるかもしれないが。

[メイン] 村上春樹 : 僕は一つの仮説に辿り着いた。この空間は、神話生物が関係していると言わざるを得ない。こんな現象を人間が起こせるわけがないからだ。

[メイン] 村上春樹 : しかし、この部屋を作った神話生物が黒赤色だというのは引っかかる。矮小な人間如きに憎悪を抱くのは不自然だ。夫が神格に何かする動機があるようにも思えない。

[メイン] 村上春樹 : これは黒赤色の呪術なのかもしれない。神話生物と契約して、命名Aに呪いをかけようとしているのかもしれない。だとしたらやり口が回りくどく感じるが、今のところそれ以外は考えが及ばなかった。

[メイン] 村上春樹 : だとしたら戦ってはいけない。銃があるとしても勝てる見込みはまったくない。ゼロだ。

[メイン] 村上春樹 : そもそも姿を表すかもわからないのだ。

[メイン] 村上春樹 : 声は命名Aを探してほしいと言った。素直に考えると、既に知っているのならわざわざ探してもらう必要はない。神話生物相手には危険な考えかもしれないのが怖いのだが。

[メイン] 村上春樹 : もしかしたら、ここで指輪に黒赤色の人物を刻めばその呪いを黒赤色に向けることができるかもしれないと考えた。

[メイン] 村上春樹 : ただそうだとして指輪にどう刻めばいいのかわからなかった。黒赤色とでも書けば伝わるのかもわからない。名前があればわかりやすいのにと僕は思った。

[メイン] 村上春樹 : 念の為に銃は彼女に持たせることにした。彼女は銃の名手なので僕が持つよりいいだろう。

[メイン] 村上春樹 : 永遠に思えるほどの沈黙──僕がそう思っているだけかもしれないが──の末に決心した。

[メイン] 村上春樹 : 素直に答えを書くと夫は死ぬかもしれない。しかし、僕はどこまで言っても臆病者で考え過ぎで普通に死んでしまうのが一番嫌だったので、素直に書くことにした。僕は心が弱かった。

[メイン] 村上春樹 : 僕は指輪に赤色 夫と判別できそうな事柄をナイフで掘った。これで伝わらないのなら書いてない方が悪いと開き直ることにした。

[メイン] GM :

[メイン] GM : おはよう。

[メイン] GM : その答えをずっと探していたよ。

[メイン] GM : さて、今の君にはもう分かるはずだ。

[メイン] GM : その銃で誰を撃てばいいのか。誰が撃たれるべきなのか。

[メイン] GM : リボルバーを握るといい。

[メイン] GM : そして、構えるといい。

[メイン] GM : 撃つべきものを撃つんだ。

[メイン] GM :

[メイン] 村上春樹 : 僕は腕時計を見た。二時五十分だった。

[メイン] 村上春樹 : 無事に帰れたとして、僕は寝付けるのだろうか。寝付けたとして、起きれるだろうか。そんな心配をしていた。

[メイン] 村上春樹 : 撃つべき人を選べと言われた。誰を撃つべきかなんて、決まっている。だが撃つとして、罪が立証されないとしてもだ。僕は人殺しになってしまうのではないかと怖くなってしまう。

[メイン] 村上春樹 : しかし彼女は違った。肝心なときに考えが及ずに臆病になってしまう僕とは違い、リボルバーを静かに構えた。

[メイン] 村上春樹 : 「黒赤色の事件の犯人を撃つわ」彼女は一言宣言し銃を撃つ。現在の世界公式記録はアーニー・ヒルがもつ0.0208秒が最速とされているが、彼女はそれを超えていた。

[メイン] GM : ……

[メイン] GM :

[メイン] GM :

[メイン] GM :                ダ
                ァ


               ン

                ッ

               !!

[メイン] GM : ──からん、からから…

     から、…ん……

[メイン] GM :

[メイン] GM :

[メイン] GM :

[メイン] GM : 探索者が目を覚ますと、そこはいつもの探索者が過ごしている日常である。どこにもあの白い部屋は存在していない。

[メイン] GM : しかし、探索者の傍に横たわる萎れた赤い薔薇だけがあの出来事が夢でなかったことを証明するだろう。

[メイン] 村上春樹 : やれやれ。僕は花を貰っても置き場所をまず考えてしまうというのに。

[メイン] 村上春樹 : 僕は花に興味がないので、当然花瓶なんて持っていない。空のペットボトルを半分にカッターで切り取って、水を入れた。日のあたる隅にそれを置き、薔薇をさした。

[メイン] 村上春樹 : そして僕は部屋に連れていかれる前にスパゲティーをゆでていたことを思い出して、台所へ行った。そしてガスの火を切ってスパゲティーをざるをあげ、小さな鍋であたためておいたトマト・ソースをかけて食べた。スパゲティーはわけのわからない現象のせいで心もち柔かくなりすぎていたが、致命的なほどではなかったし、それにスパゲティーの微妙なゆで加減を云々するにはあまりにも腹が減りすぎていた。

[メイン] 村上春樹 : 僕はラジオを音楽を聴きながら、その一五〇グラムぶんの麺を一本残らずゆっくりと胃に流し込んだ。今までずっとものを食べていなかったので、命拾いしたな、と心底ほっとした。

[メイン] 村上春樹 : 皿と鍋を流して洗い、そのあいだにやかんに湯をわかし、ティーバックで紅茶を入れた。そしてそれを飲みながらガールフレンドとのデート先は動物園にするか、水族館にするか考えをめぐらせてみた。

[メイン] 村上春樹 : END

[メイン] GM :

[メイン] GM : 『命名、Aは復讐を果たした』

裏表紙には淡々と書き留められているだろう。

[メイン] GM :